秋にいへ。
お元気ですか? わたしはとても元気です。毎日いろんなことに忙しいけれど、楽しくやっています。
人間とも、鬼とも、仲良く過ごしています。
年末には、礼陣神社の大掃除をします。煤払いっていうらしいけれど、わたしとおばあちゃんにとっては、いつも日曜日にやっている掃除の、延長みたいなものです。
いつものほうきとバケツ、雑巾ではなく、須藤のおじいちゃんが作った特別な掃除道具で、神社をきれいにします。お孫さんの春ちゃんが、神社まで持ってきてくれるんですよ。
煤払いのときは、わたしたち根代の人間だけではなく、他にもたくさんの人が掃除に来るので、ちょっとしたお祭りみたいです。

神主さんと愛さんは、仲良く並んで、掃除をしています。二人はいつも仲が良くて、見ていてとても幸せな気持ちになれます。二人がいつまでも一緒にいられたらいいのになと思うのですが……
それをちょっとにやにやしながら見ている大助兄ちゃんは、ときどき「手が動いていない」と亜子お姉ちゃんに怒られています。
海にいとはじめ先生は、互いに声を掛け合いながら、一緒に重いものを運んだり、体力の必要な作業をすすんでやっています。二人を見ていると、ちょっとだけですよ、ちょっとだけお父さんがいるのが羨ましいなって思います。
他にも、いつも神社に来る人たちの多くが、煤払いのお手伝いにも来てくれます。みんなでやったほうが、早く終わりますから、掃除はあっという間に終わります。
もちろん、鬼たちも手伝ってくれます。高いところや狭いところは、鬼たちがきれいに磨き上げてくれるんです。
途中で差し入れをしてくれるのは、御仁屋のおじさんとお兄さん、それからわたしたちの剣道の先輩である和人さんとそのお友達の流さん。おにまんじゅうをどっさり持ってきてくれるんです!
みんなで一生懸命掃除をした後に食べるおにまんじゅうは、最高の味なんですよ。
愛さんやおばさんたちがお茶を淹れるのを、今年はわたしも手伝いました。上手だねって褒められると、嬉しくなっちゃいます。

神社の煤払いが終わった後は、うちの大掃除です。
これまでおばあちゃんだけがやっていた鬼さんの部屋の掃除を、わたしがすることになりました。
なぜなら、今年は鬼さんに助けられてしまったんです。秋にいには、その時のことを、いつか詳しくお話しますね。お許しが出たら、ですけれど。
ちゃんと自分の部屋も掃除しましたよ。秋にいが、いつうちに来てもいいように。

今年はなんだかいろいろあって、掃除にもいつもより気持ちが入った気がします。
来年も、きっとたくさんの出来事があるんでしょうけれど、どんなことでも笑顔で乗り越えていけたらなって思います。
きっとできるでしょう。だって、わたしには、たくさんの味方がついているんだから。
それでは、今回はこのへんで。年始に会えるのを楽しみにしています。
八子より。